6.5章 国際夜行列車






エレバンのバスターミナルについて、今度はカフカス3国の最期の地、アゼルバイジャン共和国を目指す。



アゼルバイジャンとアルメニアは領土問題で戦争をしていた。
それはソ連崩壊とほぼ同時に起こった戦争で、「宣戦布告なき全面戦争」といわれている。
現在停戦中であるものの、確執は現在も深く、国境は通れない。


そのために、一度グルジアを経由しなくてはいけないのである。







うおお!!
またグルジアかよーー!!









人びとの嘲笑するかのような、冷たいあの目・・・。
夜歩いているだけで、腕の4,5本は持っていかれそうだってのに・・・。



怖いなぁ・・・気が進まないなぁ・・・。








バスターミナルで「トビリシ!トビリシ!・・・トビリシ?」と手当たり次第に地名でバスを探すと、
ラッキーなことにちょうどすぐ出発するミニバスがあった。


6500ドラム(約2000円)を支払うと、用意していたアルメニアの通貨を使い切ってちょっぴり嬉しい。





アルメニア・エレバン〜グルジア・トビリシの国際ミニバス







バスの隣の席の兄ちゃんが、
「あれがアルメニアで一番高い山だぞー」「ここは○○って街だぞー」
と随時必要以上に教えてくれました。
でも異国で親切な人に出会うと本当に助かります。


途中の休憩所では

「あれ、おまえ昼飯食わないの?」

「いやー、アルメニアのお金全部使っちゃってさ!」

「ふーん。じゃあこれ半分あげる。」


なんて感じでタコス的なものをくれました。

いやー、優しそうな人が隣でよかったなー。



アルメニア最高峰らしい山





3,4時間走ったところでグルジアとの国境。



いったんバスを降りて、荷物を持って国境検問所で荷物チェックを受けてグルジアへ入国。

グルジア出国はゆるかったけど、入国は少し厳しかった気がする。



バスに乗り込み、運転手が客を確認して出発。



ん?

隣のあの優しそうな兄ちゃんがいない・・・!!!


「おいちょっと・・・!!こら!!運転手!!!一人いないぜ!!オレの隣の・・・」


「あー。あいつはなんかパスポートプロブレムで捕まったらしいぜ。」




うおっとぉぉ!!!!!

マジかよ!!


めっちゃ優しかったくせに実はなんかテロリストだったりしたのか、あのメガネ!!
偽造パスポートとかそういうことだったのか?実は小銃とか隠し持ってたしたのか!?







トビリシ、オルタジャラバスターミナル




国境を越えて首都トビリシまでは1時間ぐらい。



トビリシのバスターミナルにつくと前回同様、ごついタクシーのおじさん達がバスの中まで入ってきて、
半ば強引にタクシーにつれていかれるも、なんとか振り切る。

これがグルジア・・・。なんか・・・こういっちゃあれだけど、みんな目が死んでるような気がするぞ・・・



やっぱこの国怖い・・・。

一刻も早く脱出しなくては・・・!!





「あ、あのう・・・アゼルバイジャンのバクーまでのバスは何時ですかね?」


「・・・??」


「(英語が通じない・・・)え、あー。・・・バクー!!バス!バクーバス!!」


「あー、13:30だよ。」(時計を指差して)


「え・・・今14:30だから・・・。」


「だから今日はもうないわよ。1日1本だから。」








うほああああああ!!!


さっき一刻も早くこの国を脱出してやるってオレ宣言したばっかりだぞえ!!!

グルジアで1泊なんていやだ!!
いいか!!オレはここを出るぞー!!



よし・・・わかった。列車で行こう。





そんなにいやなのか、オレ。





というわけで急遽、夜行列車を探すことにし、バスターミナルのそばにあるらしいメトロの駅を探す。


トビリシ歩き



そういうことで少しこの一部地域に退避勧告が出ている国でフラフラしていたのです。


すると、いかにも悪そうな顔した、ハリーポッターのマルフォイみたいな若者に絡まれました。




うん。怖かった。

だって、下手したら銃とか出回ってるかもしれない国なんだもん!!




いかにもガラ悪そうなやつだなあ・・・と思いながらすれ違った瞬間です。

彼は急に振り返り僕のバックをガッとつかみ、無理に引っ張ってきました。


なんとか振りほどき、彼から離れるオレ。


でもなんだか少しイラッときて、大きな声で「what!?!?!?」と脅すように言ってみました。

もちろん怖いので、早歩きで逃げながらです。







結局道にって、もう嫌になってタクシーを使い、トビリシ駅へ。

トビリシの駅は工事中で変なところからプラットホームに入り、変なところからチケット売り場へ。



買い方がよくわからないし、もはや列なんてないようなもので我先にと売り場へ人がたかるので
どうしたらいいかわからなかったけど、なんとかその阿鼻叫喚の中に突撃し、無事買うことができました。


チケットはロシア語なのでなんにもわかりません。



少し時間が余って、夜のための食料を買うために、駅前散策。


やはり灰色な雰囲気。この辺はまだ活気があるといえばそうだけど、どうにも治安が悪そうな感じがする・・・。

駅前の地下通路には露天があったけど、なんか暗いんだよな・・・。


パン屋を見つけてその店に10分以内に2回も登場してまったく同じもの買って、
「ハハハ!」とか店のお姉さんに笑いかけてみた
けど、完璧に無視されたし・・・。









駅のホームでは子供たちに「money!money!」と初めてたかられました。


貧困な国の現状。




この子達のことを考えてあげるべきだ、という人もいる。
ここでお金をあげてしまえばもらうことを覚えこの子達のためにはならない、という人もいる。
こういうのは親がやらせてお金を稼いでる、と書いてある本もある。
でもオレがここであげれば、この子達は1日でも長く生きられるのかもしれない。


どうしたら正解なのか。
つい考えてしまいます。

でもこういう現状をやはり見てみたかったっていうのはあった。


情報として得るものじゃなく、実体験として見てみたかった。

やっぱり体験すると、自分に対して説得力がある。考えさせられる。





いいも悪いも百聞は一見にしかず。







列車内部


ホームでチケットを見せて車両を教えてもらい、乗りこみ、やっとの思いで腰を下ろす。


中は2人1部屋の個室で、下にイス上にベッドになっていました。



下のイスは上がっている状態



向かいの席にはチケット売り場で一緒になったおばさん。



電車はすごく遅い。

ていうかすんげー乗り心地悪いぞこれ!!!



ガタガタ揺れはすごいし、しょっちゅう急に止まるし、空調きいてないから暑いし空気悪いし!


なにより乗務員がひどんだよコノヤロー!!


なんでトイレ使っちゃダメなんだよー!!さっきの奴使ってたじゃねーか!!
なんでオレが聞いたらダメって言って、トイレに鍵までしめるんだよ!!

我慢しろってか!!12時間ぐらいトイレ我慢しろってか!?
朝起きたら全人類が向かうのはまずトイレだろうが!!
それでもジャパニーズだけはトイレ使っちゃダメってか!!?


チキショー!!一回日本に来て、電車乗ってみろ!!



満員電車とか痴漢とか色々とそれはそれで大変だけどな!!




そんなわけでもう二度とこの列車には乗らないと決めると、国境につき停車する。


グルジアの監査官にパスポートを集められ、40分ぐらいするとスタンプを押されて返され、少し列車が進む。


今度はアゼルバイジャンの軍人と麻薬犬?が乗ってきて、荷物をまさぐる。

そして入国監査官が入ってきて、なにやら話しかけてくる。




「ドゥブジュルバイジャヤィクルニョニュンブシュルカブジャ?」


「え・・・。あ・・・。」


「ドゥブジュルバイジャヤィクルニョニュンブシュルカブジャ!?!?!?」


(入国管理なのに英語が通じない・・・。)
「じゃ、ジャパン!!!トーキョートーキョー!!スチューデント!!サイトシーング!!」


「バジョリュウクジュヴァニツァイモニュニュモニィ!!!!!」


「He say・・・、アゼルバイジャンのどこに行くのかって聞いてるのよ。」


「そ、その声は・・・!同じ部屋だったのに、勝手に隣の部屋に移動したさっきのおばさん!!」


「はあ。私、英語分かるから通訳してあげるわ。(流し目)」


「モニュモニュナバチュチュチュ!?」


「うわああああ!スパシーバスパシーバ!!!」


「ドュフフドュフフ!!!」



偶然にも隣のおばさんが英語を話せたために、なんとか無事に入国!!


グルジアで英語が通じた人は3人目ぐらいだったから本当に助かった!


このおばさんには本当に感謝!!
あのままだと荒野に柵があっただけのなんにもない国境で下ろされたかもしれないからしれません。



これは本当に救われた。


旅は道連れ世は情けってね。




入国までに結局2時間も待たされ、暑い車内は蒸し風呂です。




列車からの夕暮れ












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